- 浅煎り
エルサルバドル トレスポソス パカマラ ナチュラル
EL SALVADOR TRES POZOS PACAMARA NATURAL
24-25クロップのパカマラ品種。オレンジやプラムを思わせるみずみずしい果実感に、トロピカルフルーツの熟した甘みが重なり、立体的な味わいを感じさせます。ナチュラルプロセス由来の豊かな香りとともに、キャラメルや糖蜜を思わせる密度のある甘さがやさしく溶け合い、余韻までなめらかに続くでしょう。
| 生産地 | エルサルバドル |
|---|---|
| 農園 | トレスポソス農園 |
| 地域 | アロテペック メタパン |
| 標高 | 1,650m |
| 品種 | パカマラ |
| プロセス | ナチュラル |
ABOUT
トレス・ポソス農園は、エルサルバドル北西部のチャラテナンゴ県、サン・イグナシオという小さな町の高地にあります。標高はおよそ1,650m。敷地内には3つの天然の井戸があり、農園名「Tres Pozos(3つの井戸)」はそこから名付けられました。この土地は、冷涼な気候と栄養豊かな土壌に恵まれており、コーヒーの栽培にはとてもよい環境です。昼夜の寒暖差が大きく、チェリーはゆっくりと熟していくため、風味の豊かさや香りの広がりがしっかりと感じられる豆が育ちます。農園を営むのは、アルマンド・グァルダード氏。若い頃にアメリカへ渡り、約30年の歳月を経て故郷へ戻ってこの農園を立ち上げました。農業を通じて地域に根ざしながら、若者の雇用や教育の機会を広げていくことにも力を注いでいます。収穫のタイミングには、一部のピッキングをあえて省くことで樹に負担をかけず、熟度の高いチェリーだけを選んで収穫するなど、持続可能で質を追求した栽培方法が採られています。そのような丁寧な取り組みが実を結び、トレス・ポソス農園はCOE(Cup of Excellenceの略で、世界中で最も高品質と認められたコーヒーに与えられる称号)2021年に7位、2022年に13位という評価を受けました。
VARIETALS
パカマラ1958年、エルサルバドル国立コーヒー研究所(ISIC)により開発されたパカマラ品種は、パカス品種(ブルボン由来の矮性品種)とマラゴジッペ(ティピカ由来の巨豆変異種)の交配によって誕生した、極めてユニークな遺伝的背景を持つ品種です。パカマラの魅力は、その遺伝子の異質性(heterozygosity)にあります。パカスが持つ高糖度・高酸度・優れた摘採性と、マラゴジッペが示す巨粒・高含水性・複雑な風味構成が見事に融合し、力強さと繊細さが共存するフレーバー構造を生み出します。また、マラゴジッペ由来の細胞拡大遺伝子(expansinやXTHなど)の発現によって、豆は大型化し、同時に風味前駆物質や芳香成分を保持する能力が高くなる傾向があります。これにより、パカマラは精製工程や栽培環境の微妙な違いに対して、官能的な反応性が非常に高いという特性を持ちます。
この品種が示す、緻密で多層的なアロマ構造、透明感ある酸、シルキーで重厚なボディは、その遺伝的ポテンシャルと生育環境のマリアージュから生まれたもの。カップの中に広がるその複雑性と洗練性は、コーヒーという作物が持つ進化の可能性を体現しています。
PROCESS
ナチュラルプロセスこのロットでは、ナチュラルプロセスが採用されています。チェリーを果肉ごと丁寧に発酵・乾燥させることで、果実のもつ甘さや香りがしっかりと豆に移っていきます。パカマラは果肉が厚く糖度も高いため、このプロセスとの相性がとても良く、熟したトロピカルフルーツや赤い果実のようなフレーバーが何層にも重なるように感じられる仕上がりになります。そこに、オレンジやプラムを思わせるような香りがやさしく加わり、飲み終えたあとにも長く続く、甘くなめらかな余韻が残ります。
ROASTER'S COMMENT
エルサルバドルでの買い付け初年度、カッピングテーブルでまず私の目を引いたのは、トレス・ポソスの華やかなゲイシャ品種でした。その後、実際に農園を訪れた際に「うちはPacamaraが美味しいんだ」と手渡されたサンプル。最終日にカッピングしたその一杯の素晴らしさに、私は初年度から両品種の購入を決めました。この出会いをきっかけに、私たちは年間を通して頻繁にメッセージを交わす関係になりました。届いた豆の品質フィードバックから、アナエロビックプロセスの試行錯誤、スロードライ設備の設計、さらには次に植えるべき品種の選定に至るまで。その対話は、年々深まっています。訪問を重ねるたびに感じるのは、彼らの確かな進化です。2回目の訪問では、農園に隣接する標高1,650m地点へドライミルを移設し、精製の鮮度を向上。そして3年目には、念願だったスロードライ設備も完成しました。現状に満足することなく、常に次の品質を目指し続ける姿勢。その歩みに共鳴し、ともにコーヒーを届けていきたいと思えることこそが、私たちがこの農園と長く関係を築いている理由です。(グリーンバイヤー/ 佐藤)