- 浅煎り
パナマ アボリヘン
Panama Aborigen
スペシャルティコーヒーの産地として世界的に知られる、パナマ・チリキ県。その高地、ボルカンで育ったカトゥーラを、48時間のラクティック・ナチュラルで仕上げたロットです。ナチュラルプロセスらしい豊かな果実感を持ちながら、飲み進めるほどに感じられるのは、明るくクリーンな印象。チェリーやオレンジを思わせる果実感から、トロピカルフルーツのニュアンス、ハチミツのような甘さへと続いていきます。
| 生産地 | パナマ |
|---|---|
| 農協 | アボリヘンカンパニー |
| 地域 | ボルカン |
| 標高 | 1,700 m |
| 品種 | カツーラ |
| プロセス | ラクティックナチュラル |
ABOUT
パナマ西部、チリキ県に位置するボルカンは、バル火山の周辺に広がる高地のコーヒー生産地です。アボリヘンのコーヒーも、標高1,700mの環境で栽培されています。この地域は、中米のなかでも比較的安定した気候と日照環境を持つとされています。北東から吹く貿易風によって運ばれた雲が山を越え、太平洋側へと流れていく地形も、長い日照時間を生む要素のひとつです。カトゥーラを含むブルボン系統の品種は、チェリーが十分に成熟するために、栽培環境から受ける影響も大きいとされています。日照や栄養、水分など、複数の条件が重なりながら、チェリーの成熟とその後の品質を支えていきます。また、パナマの火山性土壌には、他の中米地域とは異なる地質的な特徴があり、植物の生育に必要な栄養素もその土地ごとに異なります。豊富な日照と土壌環境。ボルカンが持つこうした条件が重なることで、カトゥーラの持つポテンシャルを引き出す環境がつくられています。今回のロットで感じられる明るくクリーンな果実感も、品種だけで生まれたものではありません。土地の環境と栽培、そしてその後の精製まで、いくつもの要素がつながった結果として表れています。
VARIETALS
カトゥーラカトゥーラは、ブルボンから生まれた突然変異種として知られる品種です。ブルボンの優れた酸質を受け継ぎながら、樹高が低く育つため、限られた農地でも密植栽培がしやすいという特徴があります。収量の高さから、1970年代以降は中米各地で広く栽培され、長いあいだコーヒー生産を支える主要な品種のひとつとなりました。一方で、十分な栄養管理や栽培管理が求められるため、生育環境によって品質が左右される側面もあります。
2012年以降、中米でさび病が広がったことを背景に、より病害への耐性を持つ品種へ植え替える動きも進みました。かつて広く栽培されていたカトゥーラは、現在では以前ほど多く見られる品種ではありません。だからこそ今回のロットは、単に歴史のある品種というだけではなく、カトゥーラが持つ魅力を、現在の栽培環境のなかでどのように引き出しているのかを感じられるコーヒーでもあります。
PROCESS
このロットには、ラクティック・ナチュラルという精製方法が採用されています。収穫後、十分に成熟したコーヒーチェリーを選別し、密閉された環境で48時間発酵。その後、チェリーをアフリカンベッドへ移し、気候条件を確認しながらゆっくりと乾燥させます。乾燥後には一定期間休ませ、水分値を安定させていきます。 ラクティック・ファーメンテーションでは、乳酸菌の働きが関わる発酵環境を活用します。ナチュラルプロセスによる果実感を引き出しながら、複雑さや甘さを重ねていくことが、このプロセスの特徴です。今回のカトゥーラでは、土地と品種による明るい印象を土台に、ラクティック・ナチュラルによって果実感と甘さが加わっています。工程そのものが目的ではなく、このコーヒーが持つ魅力をどのように表現するか。そのために選ばれた品質設計です。ROASTER'S COMMENT
今年の買い付けのためにパナマを訪れた際、WOODBERRYのバイヤーは、ボルカン地区で開催されたコーヒーフェスティバル「パナマ・ハイランド・トレジャー」に参加しました。そこで出会ったのが、ガト・グランデ・コーヒー・フォレストが手がけるゲイシャでした。アールグレイを思わせる上品な香りと、透明感のある味わいに惹かれ、その生産者と商談を進めることになりました。その会話のなかで、「カトゥーラもあるよ」と紹介されたのが、このアボリヘンのコーヒーです。ゲイシャとの出会いをきっかけに生まれた生産者とのつながり。そして、その先で思いがけず出会った、もうひとつの魅力的なコーヒーが、今回の買い付けにつながっています。紹介されたカトゥーラのサンプルを試飲すると、まず印象に残ったのは、そのクリーンさでした。ナチュラルプロセスらしいフルーティーなフレーバーをしっかりと感じながら、味わいの輪郭は明るく、すっきりとしています。今回の買い付けでは、品質に加えて、一定以上のボリュームを確保できるロットも探していました。そのなかで、このコーヒーは味わいの魅力と十分な供給量をあわせ持ち、その場で購入を決めました。特に印象的だったのは、カトゥーラに見られることのあるグリーンやハーブを思わせる印象が強くなく、果実感を素直に感じられたこと。その理由をたどると、カトゥーラという品種だけでなく、ボルカンという土地の環境にも行き着きます。
(グリーンバイヤー/ 佐藤)