- 浅煎り
エクアドル プトゥシオ ティピカメホラード
ECUADOR PUTUSHIO TYPICA MEJORADO
フローラルな香り、レモンや白ブドウを思わせる明るい果実味、グリーンティーのような軽やかさとハチミツのような甘さが、透明感をもって広がります。
| 生産地 | エクアドル |
|---|---|
| 地域 | ロハ |
| 標高 | 2,222 m |
| 品種 | ティピカメホラード |
| プロセス | ウォッシュド |
ABOUT
南エクアドルに位置するロハは、アンデス山脈の複雑な地形と標高差に恵まれたコーヒー産地です。小規模な農園も多く、それぞれの環境や品種を生かしたスペシャルティコーヒーがつくられています。プトゥシオ農園の周辺には原生林が残り、ポドカルプス国立公園のバッファーゾーンに隣接しています。海底が隆起した堆積岩を基盤としながら、森林由来の有機物や火山灰などが重なった土壌が広がる環境です。もうひとつ、この土地を特徴づけるのが雲霧〈ガルーア〉。高地に立ち込める雲霧は強い日射を和らげ、夜間には急激な冷え込みを抑える役割を果たします。日中と夜間の温度変化が穏やかになることで、樹木は極端なストレスを受けることなく成長を続けることができます。こうした環境では、チェリーは急速に熟すのではなく、長い時間をかけて成熟へ。糖や有機酸、香りに関わる成分が少しずつ蓄積されることで、明るい酸や甘さだけでなく、それらが重なったときの奥行きも生まれていきます。
VARIETALS
ティピカ・メホラードティピカ・メホラードの名前には、少し不思議な背景があります。もともとは伝統品種を改良するプロジェクトのなかで生まれた品種として、その名が付けられました。ところが、近年の遺伝子解析によって、一般的なティピカとは大きく異なる遺伝的構成を持つことが判明。ブルボンとエチオピア在来系統との交配によって構成された品種であることが示されています。
その独自の遺伝的背景は、カップにも個性として現れます。フローラルな芳香や鮮やかな酸、果実を思わせる風味、そして重なりのある甘さ。ゲイシャやシドラなど、近年注目される品種と同じように、品種そのものがカップの印象を大きく左右する存在です。
PROCESS
ウォッシュドプトゥシオ農園を手がけるペペ・ヒホン氏は、コーヒーが育った環境そのものを大切にしながら、生産に向き合っています。精製においても、特徴的な風味を新たに加えることではなく、チェリーが持つ品質を損なわずに届けることを重視する姿勢。完熟したチェリーを見極めて収穫し、丁寧な選別を行った後、果肉を取り除いてウォッシュドで仕上げます。さらに、乾燥には時間をかけ、豆の状態を確認しながらゆっくりと水分を抜いていく工程です。
ウォッシュドは、コーヒーそのものの品質がストレートに現れやすい精製方法。だからこそ、収穫の精度、選別、乾燥という一つひとつの工程が重要になります。シンプルな方法を丁寧に行うことで、品種と土地が持つ繊細な表情をクリアに引き出しています。
ROASTER'S COMMENT
ティピカ・メホラードが注目されるようになった背景には、品種そのものの希少性だけでなく、その個性を高い品質として形にしてきた生産者たちの存在があります。プトゥシオ農園のロットでは、高地特有のゆっくりとした成熟、雲霧に包まれる独自の環境、そしてペペ・ヒホン氏による細やかな生産と精製が重なっています。華やかな香りや明るい酸を備えながら、グリーンティーのような軽やかさとブラウンシュガーを思わせる甘さが調和する、その端正な味わい。こうした背景の積み重ねによって生まれています。世界的に評価が高まりつつある品種を、どの土地で、誰が、どのように育てるのか。同じ品種であっても、その答えによってカップの表情は変わります。このロットには、エクアドルの希少品種が持つ可能性と、それを丁寧に引き出す生産者の技術、その両方が感じられます。(グリーンバイヤー/ 佐藤)