- 中煎り
ブラジル ペドラ・レドンダ
Brazil Pedra Redonda
生産地 | ブラジル |
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農園 | ペドラ・レドンダ農園 |
地域 | ミナスジェライス州マッタス・デ・ミナス地域 |
標高 | 950~1,400m |
品種 | カトゥアイ |
プロセス | ハニー |
ABOUT
農園はミナスジェライス州マッタス・デ・ミナス地域のアラポンガに位置し、標高950〜1,400mの急斜面に広がります。この傾斜は機械化が難しいため、今も手摘みによる収穫が中心です。一粒一粒の熟度をていねいに見極めながら選別することで、過熟や未熟の豆を取り除き、クリーンで透明感のある味わいが生まれます。また、大西洋岸森林の影響を受けた微気候は複雑で、同じ区画でも熟度の進み方に微妙な差を生みます。陽の当たり方や風の通り方の違いが、コーヒーの香味にわずかな変化を与え、深みや果実のニュアンスを際立たせています。土壌は排水性に優れたラトソル系で、樹木の根は水分と養分をしっかり吸収し、健全な生育を支えています。
VARIETALS
カトゥアイカトゥアイは1960年代にブラジルで生まれた品種で、耐倒伏性と密植栽培に優れ、管理しやすいのが特徴です。香味は穏やかで、突出した個性はないものの、土壌や気候、精製方法の影響を如実に映し出す“キャンバス”のような存在です。
ペドラ・レドンダ農園では、この特性を最大限に活かし、施肥管理や収穫のタイミングを工夫しています。ていねいな手摘みと熟度に応じた選別により、カトゥアイ本来の甘味やフルーツ感が引き出され、透明感のある華やかな香味が実現しています。
PROCESS
本ロットの味わいを彩るのは、ブラジル発祥のハニープロセスです。完熟チェリーから外皮を取り除きつつミューシレージ(粘液質)を残し、乾燥させることで、ウォッシュドの透明感とナチュラルの果実感の両方を兼ね備えた香味が生まれます。発酵過程では、粘液質に含まれる糖やペクチンが微生物の働きで分解され、エステルや芳香族化合物が生成されます。これが焙煎時に豆の中に取り込まれ、フルーティーでフローラルな香り立ちを生み出します。飲むと柑橘やトロピカルフルーツの鮮やかさが広がり、後からやわらかな甘味が追いかけるように訪れます。
ROASTER'S COMMENT
インポーターから届いたサンプルを手にしたとき、まず驚かされたのはその価格でした。品種やプロセス自体は特別なものではないにもかかわらず、通常の2〜3倍という高い値付けがされていたからです。理由を確かめるようにカップをすると、答えは一口で明らかになりました。透明感のあるクリーンな質感、フローラルや柑橘を思わせる鮮やかな香味、そして果実感と甘味のバランス。口に含んだ瞬間、味わいの層が次々に重なり合い、これまでに体験したブラジルコーヒーのイメージを刷新する印象を受けました。
ペドラ・レドンダ農園のある地域では、施肥や養分管理が特に品質に大きく影響します。カトゥアイの特性を最大限に引き出すため、農園では緻密な施肥管理と手間を惜しまない栽培が行われています。その結果、高い価格設定にも納得できる、表現豊かで透明感ある味わいが実現されているのです。
この体験を通して、ブラジルの豊かなテロワールと生産者の技術が結晶した、特別なコーヒーに出会えたことを強く実感しました。グリーンバイヤー/ 佐藤)