- 浅煎り
コロンビア ラ・カバーニャ ピンクブルボン
Colombia la Cabana
生産地 | コロンビア |
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農園 | ラ・カバーニャ農園 |
地域 | ウィラ県 ピタリト |
標高 | 1,700〜1,800m |
品種 | ピンクブルボン |
プロセス | ファーメンテッド ナチュラル |
ABOUT
コロンビア南部、ウィラ県ピタリトは「スペシャルティコーヒーの聖地」と呼ばれるエリアのひとつです。標高1,700〜1,800mの高地に広がる農地は、昼夜で大きな寒暖差があり、果実の熟成をゆっくりと進めます。その結果、チェリーの中に豊かな糖分や酸が蓄えられ、透明感のある甘さと鮮やかなフレーバーが生まれます。火山性の肥沃な土壌はカリウムやマグネシウムなどのミネラルを多く含み、果実の明るい酸を後押しします。年間を通じて日照は安定していますが、午後にはアンデスから冷涼な風が吹き下ろすため、果実や葉面温度の上昇が抑えられ、チェリーの温度を下げて風味を引き締めます。
VARIETALS
ピンクブルボンピンクブルボンは、コロンビア南部ウィラ県やカウカ県で栽培される希少なアラビカ種です。成熟するとチェリーは淡いピンク色に染まり、その見た目の美しさでも知られています。樹勢や葉の形は従来のブルボン系と似ていますが、香りや味わいに独特の華やかさと透明感があります。
この品種の大きな特徴は、果実に含まれる 糖分と芳香族アミノ酸が豊富なことです。糖分はキャラメルやハチミツのような甘みを生み、芳香族アミノ酸は焙煎や発酵の過程でジャスミンやベリー、ローズなどの香りに変化します。酸味は明るくフルーティで、渋みは控えめ。舌触りは滑らかで、口の中に果実や花の香りが層になって広がります。
PROCESS
ファーメンテッド ナチュラル収穫は、糖度20%以上に達した完熟チェリーのみをハンドピック。ここからラ・カバーニャ農園独自の二段階発酵が始まります。
まず行われるのは 約14時間の好気発酵。酸素に触れさせながらチェリーを休ませることで、果実の中に自然に存在する酵母や細菌がゆっくり働き始めます。酵母は果実の糖分を分解してフルーティな香りを生み出し、細菌は酸を整えることで、クランベリーのような鮮やかな酸や透明感のあるフレーバーが引き出されます。
続いて、タンクの中で酸素を遮断する 約40時間の嫌気発酵(アナエロビック・ファーメンテーション)。この環境では乳酸菌が活発に働き、酸味を柔らかくまとめながら、プラムや赤ワインを思わせる複雑で厚みのある風味を形成します。酵母も糖分をゆっくり発酵させることで、甘さや果実味を一層際立たせます。
発酵を終えた豆は粘液質を残したまま、シェード内で約21日間かけてじっくりと乾燥。直射日光を避けながら時間をかけて仕上げることで、繊細なフローラルの香りやキャラメルのような甘い余韻が際立ちます。
その甘さや厚みに果実の鮮やかさと複雑さが加わり、赤い果実やトロピカルフルーツを思わせる厚み、ぶどう飴のような甘さ、シルクのような舌触りが実現するのです。
ROASTER'S COMMENT
クランベリーやプラムを思わせる果実味に、赤ワインのような奥行きとキャラメルの甘さが重なり合うラ・カバーニャ農園のピンクブルボン。華やかで複雑な風味は、ゆったりと自分の時間を楽しみたいときに最適です。休日の午後にお気に入りの音楽とともに。あるいは、一日の終わりに心を解きほぐす時間のお供として。気持ちをリフレッシュしたい朝にも、明るい酸味と透明感のある後味が爽やかさを添えてくれます。
大切な人とシェアする場面でも、このコーヒーは特別な体験をもたらします。カップを手にした瞬間から広がる華やかな香りと、飲み進めるごとに変化する味わいが、会話をより豊かに彩ってくれるでしょう。(グリーンバイヤー/ 佐藤)