- 中煎り
エルサルバドル ブエナ・エスペランサ
EL SALVADOR BUENA ESPERANZA
ナチュラルプロセスによる赤い果実やレーズンのような甘いフレーバー、ブラウンシュガーやカカオのような穏やかなコクを伴う一杯に仕上がっています。
生産地 | エルサルバドル |
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地域 | カカウアティケ |
標高 | 1,500 m |
品種 | カスティージョ |
プロセス | ナチュラル |
ABOUT
エルサルバドル北部、カカウアティケ山地に広がるブエナ・エスペランサ農園は、スペイン語で「よき希望」という意味の名のとおり、自然との共生を大切にした農園運営を行っています。農薬や化学肥料は使わず、森に暮らす生き物たちとともに生態系をつくるアプローチを重視。例えば、害虫対策も薬剤ではなく、虫を食べる鳥の棲みかとなる木々や、目立たず害虫を捕食するナナフシなどが住みやすい環境を整えるなど、自然に倣った方法で守っています。この農園で育てられたカスティージョ種は、ナチュラルプロセスにより、赤果実やトロピカルフルーツのような甘くジューシーな印象を際立たせながら、ブラウンシュガーやカカオのような穏やかなコクを伴う一杯に仕上がっています。豊かさと落ち着きをあわせ持ち、口にするたびに、育まれた時間の長さと丁寧さが伝わってくるコーヒーです。PROCESS
このロットには、果肉を残したまま乾燥させるナチュラルプロセスが採用されています。高標高の冷涼な気候と、日中の強い日射が織りなす乾燥環境の中で、発酵と乾燥がゆっくりと進み、果実の風味成分がしっかりと豆に移行しています。ブエナ・エスペランサでは、乾燥工程にも細やかな管理がなされ、過発酵やオフフレーバーを避けるため、風通しや陰干しのバランスにも配慮されています。その結果、チェリー由来の赤果実や完熟トロピカルフルーツのような香りと、黒糖やキャラメルのような深みある甘さが調和した、奥行きのある味わいが生まれます。カスティージョが持つ高い糖度や豊富な前駆体成分が、ナチュラル精製によって最大限に引き出されており、甘くなめらかな質感と長い余韻が印象的なロットに仕上がっています。VARIETALS
カスティージョ(Castillo)は、コロンビアで開発された耐病性に優れる品種で、ロブスタ系のティモールハイブリッドとアラビカ系のカトゥーラを交配して生まれました。その特徴は、病害に強く高い収量を持ちながら、近年の発酵・精製技術の進化により、香味のポテンシャルも高く評価されている点にあります。La Buena Esperanzaでは、品種特性に合わせた独自の収穫アプローチが採られています。たとえば、通常のブルボン種などでは、果実が赤や濃赤紫に色づいた時点で収穫されるのが一般的ですが、ここではカスティージョの果実二藍(ふたあい)”と呼ばれる濃い紫がかった色合いに達するまで待ってから収穫しています。これは、ハイブリッド品種に特有の「酸がサワー(鋭く尖る)」という印象が、熟度の浅さに由来することを実際の経験から学んだからだと言います。完熟をさらに超えるほどに引きつけて収穫することで、酸はよりまろやかで明るく、果実感はより豊かに表れます。カスティージョという品種に対してネガティブな印象を持っていた人がいたとしても、適切な収穫タイミングを選べば、その印象は大きく変わる——それを証明するようなロットが、ここにはあります。高糖度と豊富な前駆体成分を蓄えたチェリーは、発酵や乾燥プロセスによってその香味の可能性を大きく広げていきます。力強さと繊細さを併せ持つハイブリッド品種だからこそ、こうした収穫の見極めが、最終的な味わいに直結しているのです。