- 浅煎り
グアテマラ ロスマ
GUATEMALA ROSMA
| 生産地 | グアテマラ |
|---|---|
| 農園 | ロスマ農園 |
| 地域 | ウエウエテナンゴ |
| 標高 | 1,493-1,900 m |
| 品種 | ブルボン, ティピカ |
| プロセス | ウォッシュド |
ABOUT
1963年、初代アレハンドロ・モラレスがこの土地を手にした当時、そこは道も水もなく、荷運びはラバに頼るしかない絶望的な場所でした。しかし彼は、この地特有のマイクロクライメイトに、他にはない可能性を確信していました。標高1,850mに及ぶ極高地でありながら、メキシコから吹き込む熱風が夜の凍結を防ぐという奇跡的な環境。断崖を吹き抜ける熱風と乾燥が、コーヒーに「生き残るための成分の凝縮」を強制します。この地形ゆえの負荷こそが、口に含んだ瞬間に弾けるロスマ特有のエネルギーに満ちたフレーバーへと変換されているのです。ウエウエテナンゴの特性が最も顕著に現れているのが、このロスマという農園です。1980年、農園を引き継いだ二代目フレディ・モラレスは、歯科医師としての論理的な思考を武器に、農園を根本から構造改革しました。彼は、品質を一時的な運や天候に委ねることを嫌い、安定して最高の結果を出し続けるためのインフラに投資します。自力で5kmの道路を切り拓き、さらに5.5km先にある天然の湧き水をパイプラインで引き込むことで、高地では極めて困難な綺麗な水の確保を成し遂げました。この豊富な水が、ウエウエテナンゴらしい力強い成分を一切の濁りなく磨き上げ、驚くほどクリーンなカップを実現する決定的な要因となっています。
農園名の「ロスマ」は、フレディの妻ローズ・マリーの名に由来し、ロゴに刻まれた母の顔は、過酷な環境を家族の団結で乗り越えるという決意の象徴です。現在は三代目フレディ・ジュニアがその意志を継ぎ、父が築いた強固なインフラを土台に、さらなる科学的アプローチで品質管理を精緻化させています。ロスマの歴史は、ただ美味しいコーヒーを作る歴史ではありません。自然の厳しさを「崩れない構造」へと昇華させ、最高の結果を出し続けるための、終わなき挑戦の記録です。
PROCESS
朝6時、まだ冷気の残る朝から収穫が始まります。摘み取られたチェリーが処理場に集まるのは15時過ぎ。ここで、プロセス責任者Pascual(パスクアル)氏による検品が行われます。特筆すべきは管理体制です。ピッカーへの報酬は、重量だけでなく「完熟豆の精度」で決まります。もし未成熟な豆が混ざれば、そのロットは本流のタンクへ入ることすら許されません。 ここでピッカー一人ひとりへの教育がしっかりとなされています。集められたチェリーは、次に「水」の力を借りた選別工程に入ります。 サイフォンの原理を利用した比重選別。水に浮く過熟豆や虫食い豆(2nd line)と、底に沈む身の詰まった完熟豆(1st line)を選別します。さらに小規模な水路を通すことで、石などの異物を徹底的に排除。パルパー(果肉除去機)に入る前に、この選別工程が挟まれます。
ここからウォッシュドプロセスへ。使用するのは「圧力調整をしない」パルパーです。 事前の選別精度が完璧であれば、機械的な力で無理やり皮を剥く必要はありません。パルパーを通過した豆は、回転式選別機「クリバ」へと運ばれます。発酵は36~48時間。かつてはpH計を使用していましたが、場所によって数値が異なるようで、現在は「木の棒」を用いた伝統的な手法に戻っています。棒を差し込み、パーチメントの層が崩れず自立するか。堆積した豆のミューシレージがどのくらい分解されているかを直接手で感じる手法です。
洗浄後、まずはコンクリートパティオで2〜3日、太陽の熱で一気に水分を飛ばします。 しかし、仕上げはアフリカンベッドでの「スロードライイング」です。屋根の下、直射日光を避けてゆっくりと乾燥を進めることで、豆の内部構造を安定させ、フレーバーの寿命を延ばします。 乾燥工程でもハンドピック。 この長い選別を経て、ようやく私たちの手元に届く「1st Grade」が完成します。
VARIETALS
ブルボン&ティピカロスマ農園の歴史は、ブルボンとティピカという2つの伝統品種から始まりました。 現代の新しい区画であれば、管理効率を上げるために「この列はカトゥーラ、この列はゲイシャ」と品種ごとに整理して植えるのが定石ですが、1963年の創業当時から続く古い区画では、これらが混ざり合って自生する「混植」の状態が今も保たれています。 特筆すべきは、その場所です。これらの古木が位置するのは、農園の中で最もアクセスが困難でありながら、最もテロワールの恩恵を受ける「最高標高の急斜面」でした。今回お届けするのは、その険しい断崖にしがみつくように生き抜いてきた、まさに農園の原点から収穫されたロットです。